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10万年の世界経済史 上人類の未来の為に過去を学びましょう
 有史以来世界中で幾度も産業革命のチャンスがあったのに何故18世紀末にイギリスに於いて産業革命が起こったのか、その必然性を探し求めている。

 上巻は前座で、産業革命以前と産業革命期の各社会階層間での生産効率や人口再生産や人口・富の移動などに関して論じている。その議論は門外漢にとってはとても斬新であった。

 後半の論点は、産業革命は人口の多数を占める庶民層の知識や生産効率が上昇し庶民層の購買力が急増した為としている。これは上流階層の出生率が高かったため知識階層の庶民層への下層移動が起こった結果であるとしている。上流階層の生産力向上や技術発展は13世紀頃より続いており、上流階層の購買力はその頃から漸増していたが、それらは庶民の生活を改善するもで無かった為産業革命に至らなかったとしている。また英国産業革命期の生産量増加は人口増加が主な理由で、従って国民一人あたりの富の増加は僅かであるとも言っている。

 英国に対して日本では、上流階級層の出生率が小さく、階級の下層移動が少なかった為上流階級の知識や技術が下層に普及しなかったことが産業革命に至らなかった理由だと論じている。このことは現代日本の社会的停滞打開のための示唆となりそうで興味深いと思った。

 最後に人間の幸福について言及し、幸福感は他人より豊かな生活であることを実感することで、所得の絶対値とは相関しないことが立証されていると言っている。世界を平和にするにはこの言葉をよく吟味しなければと思った。




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